【連載vol.17】冬に夏の写真を見ることの快感

この写真は夏に撮ったワンカット。

日差しが強く、とても暑い日だった。影がとても濃い。

僕は季節外れの写真を見るのが好きだ。真冬にカリフォリニアの夏の写真を見たり、真夏に雪景色の写真を見たり。

あれはなんと呼ぶのだろう。なんと言えばよいのだろう。なんというジャンルなのかな。

独特な気持ちのよいものが脳内に溢れる。グッと脳がずれる感じ。むずっとするような感じ。言葉でもなく、映像でもなく、外的な感触でもなく。

きっと医学的な名称があるかもしれない。誰かに聞いたらわかるのだろうが、そんな答は知らなくていい。気持ち良いのだからそれでいいじゃないか。

写真っていろんな遊び方がある。撮ったり、見せたり、テクニックを駆使したり、カメラを掃除したり、高いカメラを買って満足したり。

けれど、こういった情味のある遊び方ができるところがとても粋だと思う。センスのある遊びだ。それは誰にも理解されなくてもたったひとりでとても気持ちよくなれる。誰にも理解できない。

頭のなかに現れた気持ちのよい現象は70億人の誰にも理解はできない。この世界でたった一人だけが理解できる極上のトリップだ。

でももしこのトリップを共通理解できる人がいるならば是非会ってみたいものだ。

写真の究極かもしれない。

写真は気持ちいい。