【連載vol.15】只今ダミーブック製作中!

現在、キューバで撮影してきた写真たちを写真集として出版したく売り込み準備中。

プレゼンに使うためのダミーブックを制作しているのだが、これが楽しすぎる。2002,2003,2015,2016年と撮っているのでダミーにもかかわらず超大作になりそうだ。

まずlightroomでセレクト。赤いマークを付けたり、フラッグをつけたり、星印をつけたりして整理をしながら最終的にどれが使いたいかを詰めていく。

そしてまずは雰囲気をつかむために普通紙で軽くプリント(軽くといっても枚数は相当数になる)。その後、再セレクトをして一般的な写真用紙でプリントをする。せっせとレタッチしては、プリントし、手直ししてはプリントしてを繰り返している。これが大変と言えば大変なのかもしれないがとても楽しい作業だ。

次にやっと本番プリント。

今回の本番プリントは、ハーネミューレのフォトラグ・バライタという紙を使ってみる。写真を長くやっている人ならバライタという言葉を一度は耳にしたことがあるだろう。バラ板みたいに聞こえるが板ではない(笑)。人によっては憧れのペーパーでもあるかもしれない。

その本物の写真と平行してダミーブックを作っている。

これは出版作業の中で一番楽しいかもしれない。もちろん、正式に本が完成してお店に並ぶのを見るのが一番嬉しい。しかし、この段階でのダミーブックは、好きな写真を好きな枚数、好きな体裁で編集、作成できるのだから夢のように楽しい。何の制限もないドリームブックと呼んでもいい。実際の出版には予算があったり諸事情でこうはいかない。だから作業中はワクワクが止まらない。早くできないかと待ち遠しい。

アイディアもどんどん湧いてきて現在四種類もできてしまった。どれも自分の子供のようで可愛くて仕方がない。どの判型も、どのレイアウトも、どのプリントも良いできに見えてくる。単なる親ばかとしか言いようがないのだが(笑)。

ここにアップしたダミーブックはその中の一冊。21cm✕21cmの正方形。僕の大好きなWilliam Egglestone(ウィリアム・エグルストン)の正方形写真集を意識した。洋書写真集っぽい装丁にしてみた。

正方形の意味はカッコイイだけではなく、横位置写真が小さくならなくて済むのが一番だ。どうしても縦型の本だと、縦位置写真はよいのだが、横位置写真が小さくなってしまう。かといって見開きで写真を使うとノド(本の真ん中)で切れてしまうので見にくくなってしまう。正方形は写真集の理想形だ。

それにたっぷりと余白が取れるので写真も美しく見える。

この余白を取るという手法。変な話だがこれが上手くできるようになってなんだか大人になった気がする(笑)。若い頃は貧乏性というか、A4の紙に目一杯、最大限の大きさで全面裁ち落としじゃないと満足がいかなかった。今は写真は少々小さくなってもよいので余白というスペースを大事にしたい。

表紙も白い表紙に余白を取って写真をはめ込み筆記体でタイトルを入れた。

写真の順番を決めたら全てのページを二枚ずつ裏面を貼り付けながらページを作っていく。1ページ目と2ページ目の裏面、3ページ目の裏面と4ページ目の裏面といったぐあいに。

それができたらきっちりと揃えて束ねる。背中に木工ボンドをたっぷりと塗って大きいクリップでガッツリと挟んで一晩寝かせる。翌日完全に乾いたら製本テープで背表紙を作る。

次の朝が待ち遠しい。夜中に目が覚めたりしたらどうなっているか見に行ったりするぐらい完成が待ち遠しい(笑)。

持ち歩けるようにスペシャルボックスも厚い紙で作った(金色のガムテープで貼り繋いだ)。

なんと今回のメインのダミーブックは200ページ!

まさにドリームブックの完成だ!

あとは出版社に持っていくだけだ。