WEB連載【本ができるまで】#0014

【本ができるまで #0014】
最初にコンタクトを取ったのは、いろは出版のWEBサイトにあった一般的なお客さんも使うお問合せフォームからだ。

編集担当が誰だかはわからないので直接、木村行伸社長宛に出した。

「キューバで写真を撮っていて、とても素晴らしい物語があります。企画書と写真を送らせていただきたのですがいかがしたらよろしいでしょうか」というような旨のメールを送った。

こういうことは昔から何度もやったことがあるが、特に大手出版社などは送り先に人間がいる気配がしない。自動返信が返ってきてもその後が続かない。

たぶんこのような海の物とも山の物ともつかない売り込みがうんざりするほどくるのだろう。いちいち返信を出していたら仕事にならないに違いない。返信さえもこないこともある。新人発掘センターでもあればまだしも、編集者は日常の業務だけで忙しい。

とある出版社の担当者にメールした時のこと。もちろん返事はなかった。たまたまその方と会う機会ができてお会いした時にメールの件を話すと、

「あー、そんなメール来てましたね。ちょっと忙しくて…」と言われた。

カチンとくるがそんな感情はおくびにも出さない。俺も少しは大人になったのか(笑)。ちょっとそれも残念だけど。若ければ「テメー!」ぐらい言ってたかな(笑)。

既読スルーか。残念。縁がなかったと諦める。というか、物事にはすべて意味があるので断られたということは良いことなのだ。

例えば昔なら失恋するたびにそのときはこの世の終わりのように落ち込んでいたけど、あとになってみたらなんと狭い世界で考えを巡らせていたのだろうかと思うことがある。

それで新しい彼女ができたらすぐにケロッとしてしまうのだから、人間は生きていくために意外と浅くできているのだ。都合の良さも生きるための遺伝子に組み込まれた知恵なのか。

出版社から断られれば断られるほどパワーが湧いてきた。

とはいえ、いろは出版さんもメールを出したがやはりしばらくの間返事はなかった。まあ恋人じゃないんだからそ翌日に返事がくるとも思えないがやはり寂しいものだ。

しかし、しばらくすると社長の代理の方から返事がきた。その内容からすぐにこの会社は良い会社だなというバイブレーションが伝わってきた。テンプレート的な社交辞令ではなかったからだ。

利益になるかどうかわからない見ず知らずの写真家の面倒くさいオファーに対して、とても丁寧で一つ一つの言葉にリアルな感情が込められていた。「人間」が対応してくれている感じがした。

なんかここいい!

それが1月の11日。

何回かのメールのやり取りの後、18日にきむ社長(木村社長)と編集の方と営業の方が、近々東京に滞在しているのでプレゼンを受けてくださるという話であった。

ラッキー!

つづく…。

2017年秋、写真家・須田誠のキューバ写真集が発売決定!

WEB連載【本ができるまで】は本が完成するまでの物語。

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