個展について

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薄皮一枚が包むこの体から一歩踏み出すことすら許されない我々に、
真の自由などというものがあるかどうかは知らないけれど、
今よりも、という意味で言うならば、
旅は僕らを限りなく自由にしてくれる。
須田誠の写真と言葉がこれを証明する。
旅学編集長・池田伸

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今回は、多くの方々のご協力により、昨年オープンしたばかりの「COEXIST」さんで個展を開催させていただくことになりました。この場を借りてCOEXISTさんおよび関係者の方々にお礼申し上げます。

COEXISTは秋葉原と御徒町の中間地点にあるという珍しい立地にある、機能的で美しいホワイトキューブのギャラリーだ。以前、倉庫だったスペースを改造して作られたそこはまるでNYのロフトのような造り。ここが倉庫だった証拠に入口の上には、「富岳通運」と以前の倉庫の看板がそのまま残されている。その漢字の看板がまたポップでいい味を出してくれている。

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今回は著書『 NO TRAVEL, NO LIFE 』を出版する際に焼き起こしたオリジナルプリントを展示します。過去に数え切れないほど写真展を開催してきましたが、オリジナルプリントを一般に公開するのはこれが初めてとなります。

ネガのプリントに関しては、写真家・本間日呂志氏の専属プリンターでもあり、水野美紀さんの写真なども撮っている松澤亜希子さんにお願いしました。プリントは、松澤さんと一枚一枚、相談しながら心を込めて焼いた作品です。須田誠のテースト、テーマ、全体の色味、個々の色味など、暗室を出たり入ったり、出たり入ったり。そうやって出来上がった作品たちです。

写真はwebサイトでご覧いただけます。⇒ TRAVEL FREAK

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オリジナルプリント展+の「+」とは、未公開写真およびポジからの新たなる焼き起こしたプリントも加えているという意味を含みます。

また「+」は、ただの写真展では終わらせたくないという意味も込めました。ちまたに溢れる、写真の前でただ腕を組んでクオリティを確かめるように「フーム」なんて言わせてしまうような写真展にはしたくない。

そこで今回は、いろんな角度から写真を深く楽しめるようにアイディアを凝らしました。

 ●本人の声による「音声ガイド」
 ●本人による「閉館後の解説ナイトツアー」
 ●関わりの深いゲストとのトークイベント ⇒A-Works副社長・滝本洋平氏、ロバート・ハリス氏他
 ●音楽ライブ ⇒インドのシタールコンテストで優勝した日本人Aki Ueda、他
 ●著名人やアーティストからのコメント動画
   などなど…

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特に「音声ガイド」は、大規模な写真展はともかく、中小の写真展では例を見ないので新しい写真の観かたができるのではないかと期待しています。今回はSONYさんのウォークマンとタイアップすることによって、その機能を写真展に生かしたいと思っています

もちろん従来どおり、想像力だけで、その写真と見てくれた方の間で完結させる観かたもありです。

しかし今回は、そこに撮影者本人の声による「音声ガイド」を組み込み、その写真の背景やエピソード、撮影秘話などを提示する。そうすることによって背景に深みがでて、一枚の写真が額を飛び出し、立体的に、そして更にカラフルになって動き出すのではないでしょうか。

額から飛び出した被写体は、目で見ただけの写真とは違い、確実に見た人の心に残ることでしょう。

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また、スペシャルプリントによる額装写真の販売も行います。
エディションナンバー、サイン、ギャラリーの証明書付きとなります。
ご購入ご希望の方は、ギャラリーCOEXISTまでお問い合わせください。
COEXIST

今回の【オリジナル写真展+】。この貴重な機会を是非お見逃しなく。
多くの方のご来場をお待ちしております。
では、会場でお会いできるのを楽しみにしております!

協力:COEXIST/かわだ額装/ソニー株式会社/東京電機大学/Nao(Superfortress)/潟Cーストウエスト/Star-Porte


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僕は一度だけシャッターを切る。
被写体に、この僕に、この地球に、この宇宙に
決して、二度と訪れることのない「時」に尊敬の念を込めて。
写真家・須田誠
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