原作者(僕)✕俳優✕演出家対談

見出し画像

今回僕の著書『NO TRAVEL, NO LIFE』がなんと四度目の舞台化となりました。これもみなさんの応援のおかげです。改めてお礼申し上げます。ありがとうございます。

そこで今回、原作者の僕と主演の渡辺和貴君と演出家の吉田武寛さんと対談をさせていただきました。

「実は舞台の再演ってなかなかないんですよ」

えーそうなんだ。舞台に詳しくない僕は驚きました。だとしたら四度目ってかなり凄いことなんですね。原作者としては本当に嬉しいことです。インタビューは下記より。前編後編に分かれています。

さて、この舞台の立役者はもう一人います。プロデューサーの小宮山薫氏。原作の『NO TRAVEL, NO LIFE』を気に入ってくださり舞台へと昇華させてくれた張本人です。

小宮山氏は舞台を中心にとてもクリエイティブな表現をするILLUMINUSという舞台制作グループを運営していて色々な挑戦に挑んでいます。

前回の三度目の『NO TRAVEL, NO LIFE』の舞台はコロナ禍に開催されたのですが、そのときの企画がとてもコンセプチュアルで面白かった。それは写真家須田誠(本物)がスダマコト(主演俳優)を撮ってフォトブックにするという企画です。そのコンセプトが詳しく記録されたサイトはこちら。
https://www.illuminus-creative.net/magazine/2287.html

そのコンセプトとは簡単にいうと…その前にまず僕の撮影スタイルからお話しないといけません。

少々専門的な話になりますが、僕は焦点距離35mm、最短撮影距離25cmというレンズを使用して人物を撮ることを得意としています。簡単に言えば凄く近づいて撮るということです。ですので人を25cmという近距離で撮影することによって写真に熱を持たせるという撮影スタイルを信条としています。

25cmに近づいて話をしながら撮るのですから多少の唾ぐらいは飛ぶでしょう。そんなスタイルが僕の特徴的な撮影方法でもありました…。

2019年以前は、ですね。

しかし2020年以降は僕の得意な撮影スタイルを封印せざるを得なくなってしまったのです。

25cmどころかソーシャルディスタンスという人と人が2mも離れなくてはいけない時代に入ってしまいました。握手もNG、ハグなんてもってのほか。マスクをして、なんなら小声で話さないといけない時代です。舞台も音楽ライブもスポーツも、会議も、飲み会も、何しろ人が近づいてはいけないという。

そこで僕は提案したのです。
「時代を写しましょう」
今の時代にしかできない撮影をしましょう。

僕の得意な「寄り」のスタイルは今や使えない。それならば自分の撮影方法にこだわらず、今は今のやり方で撮ればいい。

コロナ禍の撮影条件は次の通り。
・必ず2m離れて撮影する。
・絶対に2m以内に近づいてはいけない。
・もちろん触れてはいけない
・撮影中は一切口をきいてはいけない。

完全未体験な縛り撮影。当日は話ができないので、それまでに毎晩のようにチャットでコミュニケーションを取るようにしました。コンセプト、プライベートなこと、未来のこと、舞台のこと…。お互いのことを知るべく話を毎日しました。

被写体は三回目のスダマコト役の田中翔君。撮影地は羽田空港第三ターミナル出発ロビー。

電光掲示板は全便欠航のサイン。

どこの国へも行けない。旅なんてもってのほか。

レストランやお土産物屋は全店閉店。

空港職員がぱらぱらといるだけでツーリストはゼロ。天井が高く、あのでかい空港にいるのは僕らだけ。

シーンと静まった空港。

最初に顔を合わせたときも2m以上離れた位置でお辞儀と目配せだけ。こんにちはも、よろしくお願いしますの一言もなく。

口を開いてはいけないので静けさがさらに強調された空間。しかし黙れば黙るほどテンションが上がってきた。伝えたいことを必死に伝える僕。それをキャッチしようと集中する被写体の翔君。

僕はその二時間、フロー状態だった。会って目を合わせてから別れるまでは1秒ぐらいしかなかったような感覚。幸福感。満足感。言葉がない分、凄い集中力で2人はつながっていました。

撮影終了後も、お疲れ様も、さようならも、握手もなく目だけで挨拶を。そこにあったのは感謝だけ。

 ◇

そして時は2023年3月。マスクは外してもよいとのお達しが出た日本。四度目の舞台化が決まった。

主演スダマコトを演じるのは渡辺和貴君。ILLUMIUSの小宮山プロデューサーと話をする。前回はコロナ禍の撮影。そして今回。コロナが明けた時代の撮影をやりましょうということになった。

時代を象徴する舞台。『NO TRAVEL, NO LIFE』から発生したコンセプチュアル撮影。須田誠✕スダマコト2023。

空港、鉄道、港、青い空、広い海、大地、人と人が交わる旅。自由を謳歌する人間。

今回は、明るい未来を見るような、そんな良いイメージの時代を象徴するフォトブックができたらいいなと思っています。

 ◇

【原作】
NO TRAVEL, NO LIFE(原作:須田誠 出版 写真・分須田誠 出版:A-works)

【脚本・演出】
吉田武寛

【上演会場】
六行会ホール

【上演期間・タイムテーブル】
2023年5月11日(木)~5月14日(日)
5月11日(木)19:00
5月12日(金)1400 19:00
5月13日(土)13:00 18:00
5月14日(日)12:30 16:30

【出演】
渡辺和貴
大谷誠
馬嘉伶(AKB48)
込山榛香( AKB48)
中村裕香里

【公式サイト】
http://www.no-travel-no-life2023.site

【お問い合わせ】
info@illuminus-creative.net
(ILLUMINUS運営事務局)

【企画・製作】
ILLUMINUS

Photo by らんねえ

写真家須田誠が主宰する写真教室は、マイベストに選ばれ東京でNo.1の写真教室!