先日、どうしても機材の受け渡しで会わなければいけない友達がいた。一年半ぶりぐらいの再会だった。
握手もハグもせず、マスクをしたまま2m離れて話をした。
やつは、こんな混乱のご時世に「夢」を持っていた。それもかなりロングスパンの大きな夢。それは「希望」そのものだった。
久しぶりに思い出した言葉だった。
「希望」という言葉。
それは自分がヤフーニュースとツイッターという洞窟の中に生きていたことを気づかせてくれた。
今、時代から一番遠くにあるその二文字を持っている人間に会ったことでシナプスがスパークした。彼が僕を光の差す洞窟の入り口まで連れ出してくれた。
彼と分かれてから1人、しばらく次の用事のため、全面ガラス張りの広い部屋にあるソファに座ってボーッとしていた。
部屋は明るかった。
何も考えていなかった。
思考もなくなんだか体がジーンとしていた。
どれぐらい経っただろう。
急に言葉が降ってきた。
「新時代を作り上げるんだ」
それがどういうことかは今は具体的にはわからない。
ただチンパンジーが骨を放り投げたときのようなことなのかもしれない。
「希望」という言葉とともに。
須田誠 2021年8月24日