【本ができるまで #0011】
「オマエ、うちにきてこれを一緒に食べよう」
男性の名前をロネル、女性の名前はロサと言った。
これが彼らとの運命の出逢いだった。
つづく…
というこの物語のスタートで前回は終わっています。
なぜならばついにデザインが上がってきたのです!
本当の連載「本ができるまで」がやっとスタート地点(笑)。
その前に。
今回の出版元は、いろは出版さんという京都にある出版社さんから出させていただくことが決まりました。
かなり面白い本ばかりを出している出版社さんです。旅や写真が好きな人なら間違いなく本屋さんでいろは出版の本を見たことがあると思いますよ。でも普通の人はあまり出版社など気にしていないので気づいていないかもしれませんが。
写真集も出しています。代表的なのはヨシダナギさんの『SURI COLLECTION』というアフリカの少数民族を撮影した本です。表紙を見れば「あー、知ってる!」となるはず。かなり売れているようですね。テレビなどにも出演されている人気の作家さんですね。スゴイです。
*
実は、いろは出版さんと出会うまでに6社ほど売り込みに行ったのです。売り込みってどんなことするのって思いますよね。会社員で例えたら個人を強く押し出す面接みたいなものでしょうか(笑)。
アポを取って会ってくださることになったら次のものを持って気合を入れてプレゼンに向かうのです(笑)。
1.ダミーブック(超自信作!)
2.本物のプリント写真(高い用紙を使う本気プリント)
3.企画書(こういうのは苦手)
4.万年筆(その場でサインとなった時に備えて)
4.その他ハンカチ、スイカ、スマホ、カメラ…
ダミーブックとは自分で家のプリンターでプリントした写真ページを糊付けして、背表紙を貼ったりして本物に近い本を作ることです。今回の僕のこだわりは正方形で作りたかったことです。
その理由のひとつには、横位置写真が小さくならないようにということが一番でした。本は99%ぐらいは縦長ですよね。そのため縦位置写真は大きく配置できるのですが、物理的に本の横幅が短いので横位置写真が小さくなってしまう。それを避けたかったのです。
それもそうですが、昔から見ていたWilliam EgglestonやSaul Leiterなどの大好きな写真家の写真集が正方形だったのでそんな憧れもありました。いつかは正方形の写真集を出したいなと。
ダミーとはいえ200ページぐらいあるので作るのは大変です。印刷所や製本所に依頼しないで本物の本を一冊まるごと手作りするようなものですから。一冊作るだけでも相当時間がかかっています。
でもそれは、商業出版という本作りの中で一番最初に作られる本で、一番ワクワクして、何の規制もなく、僕の最高の夢が詰まっている作業でもあるのです。
ダミー本は、ある意味、自分の完全なる姿です。ドリーム・ブックと読んでもよいかもしれません。
A4の紙に写真を配置したページをプリントします。その後、余白をカッターで切って正方形にします。そしてあーでもない、こーでもないと並べ替えてレイアウトを決めます(超アナログ派)。
InDesignというソフトを使えばよいのでしょうが、そこは違うのです。もっと動物的感覚で指先で作っていくことが大事なのです。効率よりも感覚が大事なのです。なので何度もやり直しになります。プリントしてカットして、並べ替えて、またプリントして…。
そうやってダミー本という第一号の本が完成するのです。
つづく…
☆
2017年秋、写真家・須田誠のキューバ写真集が発売決定!
WEB連載【本ができるまで】は本が完成するまでの物語。
☆
★Instagramでも同時連載中!
https://www.instagram.com/macochphoto/
★ブログ<須田誠オフィシャルサイト>
http://travelfreak.jp/
★Twitter
https://twitter.com/MacochTV
☆いろは出版
https://hello-iroha.com/