【本ができるまで #006】
かつて放浪をしていた時、大抵の国は初めて行く国で、空港に到着するとどこの国も毎回驚きと喜びに溢れ体中が軽くなるようなワクワクする感じになる。
その中でも入国する際に強烈なカルチャーショックを受けた国がいくつかある。
一つ目はアメリカ。ニューヨーク。
二つ目は着陸前のネパール。
三つ目は夕方に到着したベトナム。
(この辺のエッセイだけでも本か書けそうだがまたの機会にしよう)
さて到着ランキングベスト5にランクインしてきたのがキューバだ!
僕が最初にキューバに行ったのは2003年。グアテマラからホセ・マルティ空港に到着したのは昼間だった。日本からキューバに向かうと深夜到着になるのだが。
旅はこの到着時間を考えて乗り物を選ぶと旅が一層面白くなる。予想外のハプニングで到着時間が狂うのもそれもまた旅の面白さでもあるのだが。
アメリカの到着は夜でも昼でも美しい。ラスベガスは、夜にバスで到着するがよい。ロサンゼルスやNYの夜の到着は本当に美しい。飛行機の小さな窓から下に見える街並み。あのオレンジの街灯が作り出す一直線のロードがアメリカだ。
キューバは断然昼間に到着するべきだ。空港から中心部までのタクシーからの風景はなにしろ、脳みそぶっ飛ぶ。そのカルチャーショックたるや強烈なものがある(カルチャーショックは大きければ大きいほどよい)。
完全にタイムスリップさせられる。1950年代ってこういう風だったんだ。え?今僕は何年に存在しているの? 本当に自分がいつのどこにいるのかわからなくなる。これは夢なのか現実なのか。現実だとしたら何年代に僕は存在しているのか? 夢なら50年代だ。
ほぼ全ての車が1950年台のクラシックカーで、まるで飛行機のようなデカいエンジン音でブロロロロロロロと走っていく。自分が乗っている車もブロロロロロロロ。対向車もブロロロロロロロ。黒い排気ガスを吹き出しながら重厚感を持って疾走する。どのくるまも日本では見かけない形状をしていて色が美しい。
50年代の映画の撮影をしているのか? 本当は全部映画のセットでしょ?
いやどうやら1950年からほとんど変わっていないようだ。いやでもこの風景はいくらなんでも2000年代では絶対ない。本当はこのタクシーはタイムマシンなのかもしれない。
途中の郊外では多くの上半身裸の男性を見かけた。首都ハバナにおいても裸の男性が歩いていてたりする。ビーチのような違和感のない感じとでも言えばいいのか。僕もキューバ滞在中は家の中では裸だ。脱げ脱げと言われる。もちろんそれはファッションではなくて暑いからなのだが。
そしてハバナの中心部にタクシーは突入していく。
つづく…
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2017年秋、写真家・須田誠のキューバ写真集が発売決定!
WEB連載【本ができるまで】は本が完成するまでの物語。
まだまだ続きます。
この調子で書いていたら本物の本が先に完成してしまうな(笑)。
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