PHOTO BOOK

『GIFT from Cuba』


写真集を見ることは最も大事である。ぜひ図書館に行って片っ端から、でもじっくりと1ページ1ページを鑑賞してみて欲しい。本屋で立ち読みするようにペラペラペラーと見るのではなく、1枚の写真の四隅までじっくり「読み込んで」みてほしい。見るのではなく読む。

しかし写真集ばかり見ていても写真は上達しない。演劇、ダンス、彫刻、絵画、漫画、アニメ、映画、音楽など写真ではない芸術にも沢山触れてほしい。そこはアイディアの宝庫であり我々の写真脳を刺激してくれる要素が溢れているからだ。

そこでこのコーナーでは写真集や写真論、技術書はさておき、写真が本気で上達したい人のための書籍を紹介していきたいと思います。ぜひ沢山インフルエンスされて、いても立ってもいられなくなったら本を投げ捨てて、すぐさま撮影に飛び出ていってください!

<推薦図書>

◯Art Sprits/ロバート・ヘンライ 👉読んでみる

1923年発刊だがキース・ヘリングや著名なアーティストも影響を受けた現代でも生きている名著! 自分の写真や生き方に自信が持てるようになる。こんな時代だからこそ読んで欲しい一冊。写真をやる人にも超お薦め。

◯現象学/エトムント・フッサール 👉読んでみる

推薦図書のコーナーなのに推薦図書が無い(笑)。入門とか、初めてのとか、初歩の初歩…と付く現象学に関する本を結講読んだが結局答えは「わからない」だった。しかし写真というものを理解する時にこの「現象学」という哲学を見て見ぬふりすることはできない。もう喉元まで写真の本質がこみ上げてきているのに言葉にできない。現象(げんしょう)するとはなんだ。

◯影老日話/杉本博司 👉読んでみる

杉本博司の波乱万丈の自伝。デビューの仕方が痛快過ぎて頭が上がらない。写真家なのか…そんなカテゴリーはどうでもいい。U2のボノをはじめとする海外の著名人にも支持されるアーティスト。

◯仕事。/川村元気 👉読んでみる

クリエーターたちの仕事に対するインタビュー。名前を見ただけでもワクワクしますね。我らが巨匠・篠山紀信氏も登場します。山田洋次、沢木耕太郎、杉本博司、倉本聰、秋元康、宮崎駿、糸井重里、篠山紀信、谷川俊太郎、 鈴木敏夫、横尾忠則、坂本龍一。

◯「いき」の構造/九鬼周造 👉読んでみる

粋。日本人ならなんとなくわかるかもしれない美意識。でもよくわからない。でも写真撮影にはとても大切なこと。逆にインスタには野暮な写真が溢れていてうんざりする。本書は少々読みづらいので、角川ソフィア文庫かパイインターナショナルの方がとっつきやすいかも。写真をやる人の必読書。

◯小林秀雄全作品 21 美を求める心/小林秀雄 👉読んでみる

観ることの重要性。本書内の「美を求める心」だけでもよいので読んで、考えてみてください。その考えるプロセスが撮影に直結します。写真が本当に上達したい人にお薦め。

◯This is Newyork/ミロスラフ・サセック  👉読んでみる

イラストレーター。誰それ?と思う人もいるかもしれないがイラストを見れば誰しもが知っているはず。このデフォルメした絵が素晴らしすぎる。超広角レンズでもこうは撮れない。想像力と画力と時代と計り知れない才能の塊。惚れ惚れする。ここではNewyorkをタイトルに記したが世界中をシリーズで描いている。

◯SWITCH 2024年6月号(VOL.42,NO.6)👉読んでみる

モノクロでぐわーっと口を開けている写真が表紙のこの号。大抵、雑誌で写真が特集されても前号の焼き直しとか、同じような内容だったりしてつまらないことが多い。しかしこの号は雑誌だが永久保存版。売り切れる前にぜひ一読あれ。森山大道、荒木経惟、篠山紀信などが掲載。


to be continued…来月もまだまだ続きますのでお楽しみに!

【ビギナー向け写真家ベスト10】

といっても写真集も見たいですよね(笑)。初心者がこれだけはおさえておきたい写真家を選んでみました。あくまでもスダ好み&10人限定という中でのセレクトです。各作家は時代時代によってたくさんの写真集を出版していますので、まずは下記の作家名でリサーチしてみましょう(順不同)。

◯アンリ・カルティエ=ブレッソン

僕が一番影響を受けた写真家です。「決定的瞬間」という言葉を聞いたことがある人も多いのでは。ストリートスナップの名手!

◯セバスチャン・サルガド

「Workers」は問答無用! 絶対、絶対観るべきです。感想?超絶すぎて言えません。世界の働く人たちです。

◯ソール・ライター

ストリートでこんな撮り方があるのかと初めて見る人には目からウロコだと思います。メインの写真集はすでに高価ですが、解説写真集などは手軽に買えますのでオススメです。

◯ヴィヴィアン・マイヤー

めちゃ良いです。二眼レフで撮っているモノクロ写真。映画にもなっているので彼女の背景も興味深いです。初心者には優しい価格で手に入ります。

◯ロバート・キャパ

戦場写真家。彼の人物像が現れた戦争の写真。色男でもあり、いい人だったんだろうなーと思います。文章の本もあるので合わせてこちらもぜひ「ちょっとピンぼけ」。また沢木耕太郎氏が書いた本も超オススメです。

◯アーノルド・ニューマン

当校の授業でも背景が大事というのを伝えていますが、彼の背景とフレーミングは絶妙です。1枚で表現するポートレートは痺れます。

◯マン・レイ

好みの違いはあるかもしれないけど、いろいろな表現方法でいいのだというのを教えてくれます。おしゃれアート系写真。

◯アンセル・アダムス

風景写真が好きな人にオススメ。写真集もよいのだけど写真展を見る機会があればぜひオリジナルプリントで迫力を感じてほしい作品です。

◯スティーブ・マッカリー

海外、旅、人間、ストリート、スナップ。この辺が好きな人にとっては神様的存在!

◯ウィリアム・エグルストン

大好きな写真家。ニューカラーと呼ばれた、モノクロ写真が写真だと言われていた時代にカラーで写真を撮った第一人者。スティーブン・ショアなどもオススメ。

【日本人・写真家】
◯日本人作家は、次回更新をお楽しみに!