須田が主宰している写真ワークショップの表現クラスは全7回の授業があり、第5回目の授業は毎回大好評で、特別講師をお招きしてのスペシャル講座となる。
それも写真とは全く違ったジャンルの達人—合気道の範士や、料理家、絵描きなど—を呼ぶのがこの回の特徴でもある。
今回は、なんとあの坂本龍一氏のヨーロッパ、アメリカツアーのサウンドエンジニアを担当していたという中村美紀さんをお呼びしての講座だった。
内容は、もう「素晴らし!」の一言に尽きた。
やっぱり世界で活躍する表現者というのは、一つのことに誰にも負けないものを持ち、それが徹底していて、その道のプロであり(当たり前だが)、確固たる自分の哲学と技術と表現力を持っている。
彼女は、世の中のすべてのものは周波数でできているという考えのもとで行動をしている。これは冗談ではなく本当の話らしい。ボクタチの体も、写真もカメラも色も…何しろ全てが周波数でできている。
その僕達には訳の分からない周波数なるものを可視化して見せてくれたり、周波数の実験をやってくれたりした。その音をだすスピーカーも会場に持ち込んでくれたのだが、総額60万円もする旧東ドイツ製の「ムジーク」というスピーカーだったのには驚きだ。この日は僕の声も60万の質だったと思う。
トークの内容も、もう本当に涙がでるぐらいに「そこ!そこ! YES!YES!」という答えを僕達に投げかけてくれた。講義中、ずっと彼女の言葉がビンビンに心に響いていた。
「究極にいい音とは何か」という問いに対しての返答はこうだった。
「いい音に答えはありません」
それは全く写真にとっても同じこと。
究極のいい写真って何?
お母さんが携帯で撮った子供の写真と、知らないカメラマンが最高級機材で撮った高解像度の写真。どっちが感じる写真だろうか。
こうも言っていた。
「最終的には聴いた人の心が動くか、動かないかです」
しびれる!
「どんなに粗悪な機材を使っても、良い音楽は良い。どんな高級オーディオを使っても、かける素材が悪かったら良い音にはならない。いじればいじるほど素材は歪む」
全く写真と同じだ。
そして、音響の話は続く…。
「対話を大切にしてレコーディングをしていきます」
「対機材ではなく、対人が大事です」
「愛をもって接するのが私の仕事なんです」
もうホント、ノックアウトされっぱなし!
究極を知っている人は、やっぱりそこなんだよ。そう、そこなんだよ!
それをわかってこそ機材や技術が生きてくるんだ。
一番大事なことは機材じゃないんだ。技術じゃないだ。
LOVEなんだよ。
凄ければ凄い人ほど偉ぶらないよね。
これ今までに会った人の共通点。
本当に素晴らしい人です。
美紀さんと出会えたことに感謝しています。
ありがとうございます。
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★須田誠 旅・写真ワークショップ 初心者クラス
http://travelfreak.jp/ws-beginner/index.html
★写真・表現力アップクラス(初級クラス修了生のみ参加可)
http://travelfreak.jp/ws-hyougen/index.html
Photo by Ai Shimoyama(ワークショップ卒業生)