エプソンが運営するギャラリー、epSITE(エプサイト)に石川竜一さんの写真展を見てきた。
石川さんは2015年度木村伊兵衛賞を受賞した写真家だ。沖縄出身でアウトローな被写体をメインに撮っている。でも一概にアウトローなんていう言葉を使ってはいけないのも事実。エプサイトに展示されていた写真には、女子高生などアウトローとはまた違うジャンルの人たちや子供も写っていたから。
でもなんか大雑把な例えなのだけどちょっと違う人たち。なんといったらいいのかわからないのは、そういうジャンルがないから。会えてカテゴライズする必要性もないというか。
石川竜一が撮ったポートレート。そういえばいい。そういうこと。あえて言い換えれば石川竜一そのものが紙の上に現れてきたということ。
縁あって石川さんとは数度、話をしたことがある。一番最初に会った時のインパクトはすごかった。
デジタルのハッセルブラッドを二台たすき掛けにしてそのまま現れた。その時はイベントのミーティングで撮影はなかったのだが、普段からこの格好で歩いているという。その日も沖縄から飛行機できたのだがそのまま来たという。
まるで戦場にでもいくかのような重装備に見える。間違いなく重いだろう。本気で撮るというのはこういうことなのだなと実感する。
やっぱりどうして写真を初めたのかを聞いてみたくなって聞いた。石川さんは沖縄のイントネーションでサラッと。
「沖縄で歩いていたらリサイクルショップのおやじが突然このカメラを2000円で売るから買えって言うんで買ったんですよ(笑)。だから買ったはいいけど、家に帰って使ってみたら壊れてた。だから新しいカメラを買って写真を初めたんです」
もう啓示である。
そのリサイクルショップのおやじさんは神様に違いないのです。
木村伊兵衛写真賞を取る人は、カメラとの出会いからしてやっぱり違うのだなと思った。
展示は12・8まで。
okinawan portraits 2012-2016
エプサイトの紹介文より
2014年の傑出した2冊の写真集により、30歳の若さで木村伊兵衛賞を受賞(2015年)。破竹の勢いで進化を続ける、もっとも属目されている写真家の一人。生地・沖縄を原点に、活動エリアを広げ多数のメディアで取り上げられるも、沖縄の透き通る海を想わせる深く美しい瞳に満ちる真摯さと好奇心の輝きは微塵も失われていない。
石川 竜一(いしかわ・りゅういち):
主な作品集:『絶景のポリフォニー』『okinawan portraits 2010-2012』(赤々舎 2014年)。主な個展:2015年「zkop+」沖縄 コンテンポラリーアートセンター、2016年「考えたときには、もう目の前にはない」横浜市民ギャラリーあざみ野。主なグループ展に2014年「森山大道ポートフォリオレビュー展」(沖縄)、2016年「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」森美術館(東京)、「野生派 夜明けの不協和音」UTRECHT(東京)など。2016年9月に赤々舎より新刊『okinawan portraits 2012-2016』が出版予定。
追伸:このVICE JAPANのインタビューと写真も凄いので一読あれ(笑)。
Photo by Makoto Suda