そのちょっと重い写真を手にすると、何か命が吹き込まれたような気がするのです。

来週から始まる森岡書店さんでの展示に向けて、額装製作に取り掛かって数日。なんとか先が見えてきた。

前にも書いたけれど額装は、瞑想か修行かっていうぐらい楽しくも辛い作業です(腰が痛くなる)。集中力と忍耐力。ちょっと慣れてきたり、集中力が切れると、いろんなものが曲がってしまうのです。裏打ちの紙やら、マットに貼る時とか、何かを切るときにカッターの方向が曲がってしまったり。

せめてもの救いは写真が曲線でできてないことかな(笑)。

裏打ちをしたことのある人ならわかると思うのだけど、ペラペラの写真を裏打ちすると水平にしても折れ曲がらないぐらいしっかりと強い紙に変身するのです。厚さも1mm以上になって重さも出ます。

そのちょっと重い写真を手にすると、何か命が吹き込まれたような気がするのです。写真の背筋が伸びたような。ただの薄っぺらい紙が力を獲得して自立しているような、一段強くなったような、生きている感じがするのです。ただの紙からパワーが出てくるのです。

なので裏打ちをすると、とても気持ちよくて、
「よしOK! 行ける! メッセージが伝わる!」
という僕自身の自信も湧いてくるのです。

物を作るのって面白いですよね。こういう経験ができるのものモノづくりの一つの楽しさ。

写真なんてただの紙。大雑把に言えばコピー用紙と同じです。スーパーのちらしや、折り紙と同じですよ。ただの紙なんです。篠山紀信が撮ったのも、サルガドが撮ったのも、僕が撮ったのも同じただの薄っぺらい紙。

絵画とか、彫刻とかってもうちょっと厚みや立体感があって「物」感が強いのだけど、僕らが扱っているのは紙ッペラ(笑)。

でもその紙ッペラが凄いんですよ。

ぜひ、ただの紙を見に来て下さい。
どんな紙なのか。
場所は銀座。

 

追伸:
写真に見えているものは、写真、額、マット、ブロア、カッター、シャープペン、無酸性テープ、白い手袋、埃を取るハケ。

 

10/3(火)~10/8(日)/2017
写真展 『GIFT from Cuba』
銀座・森岡書店
著者による作品解説ツアー、森岡氏との対談などイベント盛りだくさん予定!

3-8日、ほぼ毎日トークショー。サプライズもあるかも。
➔詳細はこちら!