万年筆の使いみち

ボクの誕生日は12月26日。もう何度も過ごしてきたので取り立てて騒ぐほどのことでもないが、ご察しの通り微妙な日だ。

23.24.25日のいずれだったらそれっぽいのだけど。でもこの辺に生まれた人に聞くと似たり寄ったりの扱いになるらしい。そうクリスマスと一緒なのである(笑)。

普通の人は一般的には年に二回大きなプレゼントをもらう。誕生日とクリスマス。しかし我々はみんなの半分しかもらえないのだ。100歳まで生きたとしたら、みんなは200個。僕たちは100個なのだ(笑)。

26日以降の人はそれはそれでまた違った悩みがあるらしい。そう、お正月と一緒にされるらしい(笑)。

そう思うと26日はいい方なのかもしれない。

ところでそれはさておき。毎年写真を納めると書いて「納撮会」という写真教室の一年で一番大きなイベント(忘年会)があるのだが、今年も先日盛大に行われた。

そこで生徒さんたちから誕生プレゼントをいただいた。

万年筆である。

それも真っ赤な万年筆。

ポップで、大人の赤。ちょっと重くて、早速インクを入れてみたら、ボールペンなどとはかけ離れた滑らかさで筆が滑った。本当に滑るという感触が言い得て妙だ。本格的な万年筆を手にしたのは実は初めてだ。

万年筆って誰もが一度は持ちたい筆記用具の一つだろう。だけど概して高価なものなのでなかなか購入までには至らないのが本音ではないだろうか。それに万年筆を買って、どうするのかという。

万年筆というと小説家が原稿用紙に書くのを想像する。しかし、作家でもない限り今どき原稿用紙に原稿を書くという人も少ないだろう。パソコのWordに書いたほうが早いし、前後の入れ替え、修正も早いし。

そう考えるととても古風でアナログな道具に見えてくる。まさに道具と呼ぶにふさわしい。文具よりはちょっと格が上な感じがする。

絵を描く道具ではない。文字を書く道具だ。

持ち方や角度やペンの向きも重要になってくる。WEBで調べてみると「軽く力を抜いて肘を動かして書く」と書いてあった。それは水墨画の描き方と同じではないか。やはり万年筆はペンではなく筆なのだ。

そんな万年筆をプレゼントしてくれたのには嬉しい意味があった。

ボクが最近ずっとキューバの写真をサイトにアップしたり、出版社へプレゼンするためのダミー本を生徒に見せていた。

それを見聞きしていた生徒がこれを選んでくれたという。しかし原稿はボクもさすがにパソコンで書いているし、普段はボールペンを使っている。

どうして万年筆なのかを聞いた。

「先生、出版社との契約が決まったら契約書にこれでサインをしてほしいのです」

泣けてくるではないか。

ただのクリスマスプレゼントではなかったのだ。それも赤はボクの好きなキューバをイメージしているという。

そこまで考えてくれたことが本当に心から嬉しい。

これは是が非でも良い本を作らなければ。

そして契約書にはこの万年筆でサインを入れることにするよ。

ほんとうにありがとう。

サンタさん。今までずっと毎年二個のプレゼントを欲しがっていました。だけど、今年のプレゼントはこれ一つで十分です。本当に嬉しい。

 

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